荒れ果てた家屋
その昔、父方のお婆ちゃんは銭湯を経営していました。
お風呂には、海水を汲み上げて沸かした「塩風呂」やムトウハップを入れた「薬風呂」などがありました。
その銭湯も、昭和40年代の初めには閉めてしまい、そのまま自然に朽ち果てています。
ボイラーマンがお風呂を焚いていた、ボイラー室は壁も屋根もなくなっていて、外なのか?室内なのか?わからない状態でした。お風呂の洗い場の壁も壊れていて、タイルが沢山落ちていました。昭和の初めのタイルなので、大きくて立派だったので、記念にティーポット置きにしようと思って持ち帰って来ました。
今から30年位前に、お風呂の番台の後ろに掛けてあった古いネジ巻式の大きな時計をもらって帰り、自分の部屋のインテリアにしていましたが、大きな古いネジ巻き式の時計だったので、音が大きすぎて大変でしたが、ムトウハップの薬入れの緑色の大きなガラス瓶と一緒に私のお気に入りでした。
母方のお爺ちゃんは、県漁連の理事長をしていたので、お爺ちゃんと一緒に港に行って「昔のガラスのブイが欲しい」と言うと、猟師さんたちから沢山もらってきてくれて、父方のお婆ちゃんの家からの宝物と、母方のお爺ちゃんの家からの宝物で、私は居心地の好い部屋で、音楽かけて本ばっかり読んでいました。
その後、香港の大学に1~2年の留学のつもりで出かけた私は、いつの間にか15年も住んでしまい、鹿児島に帰ってきた時には実家はマンションに建て替えてあり、私の部屋の宝物は家族の目にはガラクタに映ったらしく、全て捨ててありました。今でもとても残念な出来事でした。
住宅は跡形もなく取り壊してあって、お風呂も壁はボロボロ、屋根も穴が開いていて、人が住まなくなったらこんなにも朽ち果てちゃうんだな~って、チョッピリ寂しくなっちゃいました。